2011年8月24日水曜日

作品の講評会(8月)

8月の撮影会(醒ケ井とMIHO MUSEUM)の講評会を行いました。
今回はフィルムで撮影された受講生の作品をご紹介します。



らくらく写真教室では、受講生の好みによって「デジタルカメラ(主にJPEG)やフィルムカメラ(リバーサルフィルム)」というように使用機材がことなります。そして、講評会でデジタルとフィルムの写真を見比べると、写真の雰囲気が大きく異なるのが受講生にも感じられているようです。

デジタルの画像は、メリハリのある色再現とシャープネスでややあか抜けた感じに写ることが多く、フィルムの写真はその裏返しのように、濁った色合いとぼんやりとした画が中心になることがあります。

とくに、最近のデジタルは性能も高く、陰影の階調がゆるやかなので「JPEGかつピクチャーモードをスタンダード」で撮影していると軟調の画像になちがちとなっています。このあたりは難しいところで、RAWデータを扱えるならばソフトウェア上で調整すると大部分の解決ができるのですが、JPEGを主体に撮影される場合にはできるかぎりにおいてはカメラ側のセッティングで補う形となります。

しかし、同時にJPEGでコントラストを上げるのは階調が破綻するリスクの発生も生み出します。

出来るかぎりRAW+JPEGで撮影するほうが解決策としては望ましいのですが、人によっては枚数や手軽さ、RAWを扱えないこともあり見識の分かれるところです。

フィルムは、シャープ感や解像感こそ劣るものの、自然な色再現やほどよい黒潰れが逆に味としてはたらくことが多く見受けられます。

結局のところ、それぞれにメリットとデメリットが存在するので、デジタルはフィルムを目指し、フィルムはデジタルを目指すような画づくりを求めるとバランスのよい仕上がりになるように感じています。

前置きがながくなりましたが、今回はフィルムで撮影された受講生の作品を講評します。
(※画像はプリントからスキャンしています)




写真上:小川 久味
醒ヶ井の梅花藻を撮影。夏の青空が清涼感を醸し出す水面に美しく反射しています。じつはまわりに多く存在する人工物を上手に排除しているところも見逃せません。ゆらゆらと揺れる青と緑の風景が時間を忘れさせるような美しさが良い。





写真中:湯川 節子

MIHO MUSEUMにあるトンネル出口付近の写真です。写真の角度は若干傾いていますが、結果的にみると放射状にのびた吊り橋の迫力をさらに高めてます。右下部分の歩行者もよいアクセントで、フィルムの粒状感さえもうまく作用した力作です。





写真下:畑中 昭

もともと造形と光陰を中心とした写真作品を数多く手がけている受講生の作品。今回の講評会ではトンネルを横に撮影している写真が多い中、縦撮りの写真が目を引きました。トンネル上部のグラデーションにも粘りがありコンクリートと光を合わせた造形美が光ります。







講評:西山武志